
誰も朝の散歩はしません、ここまで来て、高原の良い空気を吸わない手はありません。
散歩に出かけて見晴らしの良い薬師堂に登りました。
八ヶ岳がよく見えていました。

昨日少し説明した上の湯の薬師館・・・
薬師堂も湯小屋も、二度の野火によって類焼して、文政三年(1820年) 堂宇と宿を再建復興しました。この時に名を薬師館と名を改めています。
高峰高原の麓に湧く菱野温泉ですが、この辺りは浅間山に降った雨や雪が、伏流水となって、いくつもの泉となって、湧きだし、池となっています。ここは水が豊富な里です。
右側の池に張り出しているのが内湯の浮島風呂です。ここに行くには、石壁のトンネルをくぐっていく、ちょっと面白い湯道になっています。

薬師館の池のほとりの碑・・・
薬師温泉 菱野の元湯 水も湯船に ヤッサイかけ流す野口雨情は薬師館に3回と待っています。その時の「菱野小唄」の一節・・・
野口雨情は童謡の3大詩人と言われ「青い目の人形」「あの町この町」「しゃぼん玉」「赤い靴」「雨降りお月さん」「「七つの子」、流行歌は「船頭小唄」「枯れすすき」「波浮の港」などの懐かしい歌の詩人です。菱野小唄をな何節か・・・
山と谷間と緑のほのほ 菱野温泉ヤッサイ夏が来る
秋の彼岸は菱野の里の薬師如来のヤッサイ御縁日
つゝみきれずに長峰山の 秋の紅葉はヤッサイ色に出る
野口雨情の命日の1月27日ですが。この頃に、薬師館では「雨情忌」が行われます。
右の写真は小諸が生んだ俳人、臼田亜浪の句碑、菱野温泉で詠んだ句です。
郭公や 薬師立たせる 山の霧
雨情も亜浪も詠んでいる薬師様へはこんな参道・・・

ありがたいお薬師様は遥か上の階段の先です。

薬師堂・・・
薬師館発祥の、薬師如来を祀る薬師堂です。
薬師堂も湯小屋も、二度の野火によって焼失しています。文政三年(1820) 堂宇と宿を再建復興しました。この時に名を薬師館と改めたそうです。そのころには野外浴場でなく内湯にしたのかもしれません。これにより、宿泊のできる湯治場となったようです。
このお堂は割地最近のもののようです。
薬師堂は、名前のとおり薬師如来を祀るお堂です。
薬師如来は病気平癒などの現世に功徳のある仏として信仰を集め、病気を治す温泉には温泉薬師と称したお堂があることが多いようです。この辺りでも、別所、戸倉、鹿教湯など有名な温泉には薬師如来を祀ったお堂があります。

薬師堂の中の薬師三尊像・・・
中尊の薬師如来を中心に右が左脇侍の日光菩薩、左が右脇侍の月光菩薩です。
左脇侍、右脇侍は薬師如来から見た左右で、正面から見たのと反対になります。
明治維新になり、別当は廃止され、ここに祀られていた本尊の薬師如来は2キロほど麓の菱野集落の長泉寺に移されて祀られています。
この薬師三尊は、その後になって祀られた薬師如来です。
やはり、温泉の効用を高めるにはお薬師様にいてもらいたいようです。

薬師堂からの八ヶ岳・・・
この日は佐久市でバルーンフェステバルが行われていました。
左側にバルーンが2つ空に浮いていました。

蓼科山・・・

薬師堂を降りて・・・
谷の奥へ少し行ってみます。

常盤館から標高で100mくらい登ったところで谷に降りる道があります。

谷を少し行くと赤い鳥居があります。

鳥居の先にはこの岩が・・・
日本の古い信仰では、神々は岩にいるという考えと、神は岩の上に降臨するという考えがあります。いわゆる自然崇拝ですね。御神木というのも、樹に神が宿るという自然崇拝の形です。よく巨石の上に石祠が祀られていますが、こうした神聖な岩を磐座(いわくら)といいます。ここにはどんな神がいらっしゃるのでしょうか・・・・

谷の側面の岩壁から滝が落ちています。
高さは8mほど・・・
不動の滝と呼ばれています。
滝下には石の敷板が滝下へと続いていますが、ここは今でも、滝行を行っているそうです。
滝下右の石碑には「清瀧不動尊」とあります。行者の間では「清瀧」と呼ばれているようです。

新緑になると緑と岩と水がハーモニーとなって素敵ですが。この時期はまだ、殺風景の荒々しさがあるようです。ここは冬には凍って見事な氷瀑となります。
不動の滝という名前の滝は多いですね。小諸でも浅間山登山道の蛇堀川にかかる滝と、布引観音の参道にもあります。

左は滝下の不動明王
左の石仏は顔だけはっきり彫られている感じなのですが、なんとなく不動明王らしくないようにも、でも怖そうだから不動明王にしておきましょうか、
右の写真は滝上にある不動明王・・・
不動明王は大日如来の化身とされて、煩悩で救いがたい、人々を、力で救おうと決意を秘めた恐ろしげな姿で表現されます。不動明王はインドでうまれていますが、日本への伝来は空海が密教と一緒に日本に不動明王の絵を持ち帰ったのか始まりといわれます。
他の国では、不動明王像は非常に少ないそうです。しかし日本では『お不動さん』と親しまれている仏様です。

不動の滝上・・・
何だか滝上らしくないですね。
ここは沢とか泉ではなく。道ではないかと・・・
用水の水を岩壁に落としている人工の滝なのです。
観光用かと思われそうですが、滝も用水と考えた方がいいようです。水のない涸れ沢に落として、滝からの水で沢を用水として、すぐ下流で荒堰という用水となります。そして女堰とか花川として浅間山麓の菱野や滝原地区のたくさんの田を潤していきます。
朝の散歩はここまでです。