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2017年07月17日
類は無償で出来な

 俺は思わず素っ頓狂な声を上げてしまう。たまもの言葉の意味を全く以て理解出来なかったからだ。先にも述べた通り、妖怪確保の実現性が希薄なのは明白で、心配が無用になる論理(ロジック)など皆目検討もつかないのだか

らな陽光女傭
 困惑している俺にたまもは尚も不思議そうな顔を浮かべ、
「いや、妾がおるではないか」
「!?」
 その瞬間、今度は奇異な言葉すら出なかった。
 数秒の後、俺は何とか言葉をひねり出す。
「協力してくれるんですか?」
「当然じゃろ」
 たまもは宝石みたいに光を乱反射させる綺麗な紅色の瞳で俺を見据えながら即答する。
 大妖怪白面金毛九尾が何処にでも居そうで三流っぽい一つ目妖怪の確保に協力してくれる。普通に考えれば願ってもない話である。それはもう歓喜に打ち震えて然るべきである。しかしながら、なまじ妖怪との付き合いに心得が

有るばかりに、俺は大いに逡巡してしまうのだった陽光女傭
「うおい! 何じゃ、その態度は! 妾の助力が不満なのか?」
 たまもは二つ返事で同意を得られるとでも思っていたのだろうか、不機嫌そうに片眉を吊り上げる。
「いや、そんなつもりは……」
「では何故じゃ? この白面金毛九尾たる妾が直々に手を貸そうと言うのじゃぞ。本来ならば泣いて懇願しても叶わぬような有難〜い申し出じゃ。迷う要素など皆無じゃろ。何故お主は躊躇うのじゃ? アレか、阿呆なのか? お

主は阿呆なのか?」
 大事な事なので二回言いました的なノリで阿呆を連呼せずとも、事の希少性は理解しているつもりである。だが幾ら希少だろうと、有り難かろうと、安易に頼めない事情が俺に有るとするならば、二の足だって踏むというものだ陽光女傭
「むう? 妾の好意に二の足を踏む事情じゃと? 言うてみぃ。但しその事情とやらがくだらん事じゃったら承知せぬからな」
 語尾に僅かな威圧を伴ったたまもの問いに気圧されつつ控えめに答える。
「……実のところ見返りを支払えそうにないんですよ」
 妖怪相手に取引のい。たまもが言った事である。たまもの力を借りるには相応の対価を払う必要があり、実際に俺は呪いに関する情報を得るために、こうして今居る喫茶店で彼女に食事を提供するに至ったわけ

だ。であるならば、当然ここで一つ目妖怪捜索のためにたまもの協力を仰ぐには別途見返りを支払う必要があるという事。そして、それが問題なのだ。なぜならこの際のたまもへの謝礼が、俺の支払い能力を有に上回るであろうか

らだ。なにせ既に呪いに関する情報提供の見返りだけで俺の財布の中身が消し飛びそうである。(無論まだ支払いを済ませたわけではないので明確な出費額は確定してはいないのだが、たまもがしこたま食い漁った品の数々を見た

限り、目算でもその合計金額が俺の財布に壊滅的大打撃を負わすのは明白である。)ただ単に一つ目妖怪の呪いに関する見解を伺うだけでこうなのだから、実行動を伴う直接的な協力要請の見返りは果たして如何程のものか。考え

ただけで身の毛がよだつ。俺が躊躇いを懐くのは至極当然と言うものだ。
[ 投稿者:長い歳月 at 11:15 | 長い歳月 | コメント(0) | トラックバック(0) ]

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