
WOWOWでリピート放送をやっていた『キル・ビル Vol.1』、また見てしまいました。はっきり言って、私、この映画に取り付かれているな。ホント何度見てもちっとも飽きない。見る側がどんな状態にあっても、スッと入り込めるというかな、多様性があるってことなんだろうけど。深夜3:00に、『怨み節』が流れるTVを見ていたら、一瞬、昔の深夜のTVの映画劇場でよくやっていた東映のやくざ映画を見ているような気分になった。すごいセンスだよなあ、英語のエンドクレジットに『怨み節』流すって、それが何の違和感もなくって、Distributed By Miramax Films とクレジットされる最後の画面にあわせて『怨み節』も、”チャーチャッチャッー、チャーン”と終わるころになると、この『怨み節』はこの映画のために書かれたんじゃないかと錯覚するくらい。
タランティーノの映画って音楽が抜群に素晴らしいのだけど、タランティーノの映画自体、映画というより、ポップやロック・アルバムのような気がする。作家性が強いということであれば、ちょっと古いがゴダールやヴェンダースなどヨーロッパの監督にはよくいるが、かつハリウッド映画で全世界で大きな売上げを記録するところで、タランティーノは映画監督というより、ロックミュージシャンに近い存在なのではないか。
そう考えると、タランティーノ映画の系譜というのはわかり易い。ロックミュージシャンなりバンドの山は、3枚目にあることが多い。1枚目でセンセーショナルなデビューを飾り、2枚目では1枚目で成功した要素をさらに拡大させてメガヒット、そしてネタがなくなったり、方向転換しようとしたりして3枚目で躓くのである。(Led Zeppelinも3枚目は酷評された)
アメリカのロックバンド The Cars が1978年、アルバム"The Cars"(邦題『錯乱のドライブ』w)でデビューしたときは衝撃だった。もう無茶苦茶クールでソリッドでかっこよかった。2枚目の"Candy-O"(1979年 邦題『キャンディ・オーに捧ぐ』)は、1枚目の良さにポップさを加え、前作以上の売上げを記録して、ザ・カーズはメガ・ロック・バンドの仲間入りを果たす。しかし、3枚目、80年の"Panorama"は一転して地味なつくり、シングルヒットも出ないで見事にこけてしまう。(ただ、私は"Candy-O"よりこっちのほうが好き) ザ・カーズもこれまでかと言われたが、翌81年の 4枚目"Shake It Up" で開き直ったかのような大ポップ大会を繰り広げ、見事に大ヒット。第一線にカンバックする。その後は、しばらく間を置き、83年にはリーダーでリードギターのリック・オケイセックのソロアルバム"Beatitude"が発表され、解散が噂されたが、84年に"Heartbeat City "を出し、そこからシングルヒットが連発、バンド過去最大のヒットアルバムとなる。ただこのアルバムあたりになると、元々このバンドはリック・オケイセックのワンマンバンドなのだが、完全にリック・オケイセックがフロントに立つバンドとなり、リードヴォーカルも殆どリックが担当し、、デビュー当初はよくリードを取っていたベースのベンジャミン・オールは陰に隠れてしまった。(ただ、今でも人気が高い"Drive"はベンがリード。リックよりベンのヴォーカルのほうがクールでよかったのに。ベンジャミン・オールは残念ながら2000年10月3日、癌で死去、享年53)
87年には完全にリックのソロ・アルバムと化した"Door to Door"を発表。翌88年に解散。
タランティーノのフイルモグラフィーをこのザ・カーズの歴史にたとえると、『レザボアドッグス』で衝撃のデビューを飾り、2作目『パルプ・フィクション』で第一線に立ったが、続く方向転換を狙った3作目『ジャッキー・ブラウン』は渋すぎて興行的に失敗、タランティーノもこれまでかと言われたのだが、自分の趣味全開で開き直った4作目『キル・ビル』が世界的に大ヒット。再びシーンにカンバックということになるか。
さて、5作目はどうなるだろうか。結構なプレッシャーだろうが、早く発表してもらいたいものである。
GoGoが車を運転している場面。ハンドルを握る手の人差し指がリズムを取っている。何の音楽にあわせていたんだろう?この場面でかかる『グリーン・ホーネットのテーマ』?あまりにも音楽とその指の動きがあっているけど、まさか音楽聞かせてこれにあわせた動きをしてほしいと演技指導したのだろうか?
ザ・カーズ聞きながらGoGoが運転していたならうれしいな。これが本当の『錯乱のドライブ』。
お粗末さまでした。