【アールヌーヴォーの流れをくむ蚕都上田館の建物】
【建物の内部】
上田市の上田城跡公園近くの大手町にある「蚕都上田館」が10日、100年の歴史に幕を閉じた。
建物は市指定文化財で、市立図書館や石井鶴三美術館などに利用されてきた文化遺産。
平成22年からは市民と地域交流の発信サロン「蚕都上田館」として活用してきた。
蚕都上田プロジェクト代表世話人の前川道博・長野大教授(55)は「富岡の世界遺産登録でシルク観光ブームが起き、上田を訪れる人が増えている。この地域の宝を文化スペースやカフェ、レストランなどに活用できないか」と提案している。上田市は近く跡利用について関係課が一体となって協議する計画だ。
蚕都上田館の建物は上田市誌によると、大正4年(1915)建設、同12年から上田市立図書館として使われた。
昭和60年からは石井鶴三美術館となり、平成22年から蚕都上田館として上田城千本桜や上田城けやき並木紅葉まつりの関連イベントや「つるし飾りと人形展」会場などに活用されてきた。
この建物は長野県を代表する大正期の近代建築。軒の出が小さく勾配が途中で変化するマンサード屋根で曲線が美しい。
また、ドイツ系のアールヌーヴォーの流れをくんだ建築で貴重な建物だ。木造2階建て、壁は板張り。1階の床面積は209㎡。