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2014年07月31日
『きまぐれ博物誌』(星新一)を読んだ
 『きまぐれ博物誌』は『きまぐれ星のメモ』に続く2冊目のエッセイ集だそうです。
 書かれた時期は『きまぐれ星のメモ』よりも少し新しくなり、1968年から1970年の3年間となっています。
 今から30年以上も前に書かれたことになりますが、読んでみると古さは感じず、結構今と同じだなぁと思う部分が多いです。

■新装版(復刻版)は合本
 自分が購入したのは文庫の新装版です。最近復刻されたので復刻版とも言えます。
きまぐれ博物誌(文庫、新装版)

 いつもは和田誠か真鍋博の表紙が良いと言って古い版のものを買ってましたが、今回は合本ということで新装版の方を選びました。合本とは複数だったのが1つにまとめられているということです。
 ここで少し厄介なのが電子書籍版。こちらは古い版を元に電子化されているため、合本ではなく分冊されています。「きまぐれ博物誌・続」と合わせて完全になります。
 それと、Amazonのマケプレで買うときは注意が必要です。新装版と古い版はISBNが違うのでページが別個になっているものの、マケプレの出品者によっては、新装版のページの方に古い版の古本を出品している場合があります。つまり、新装版の古本を買うつもりが、古い版のものだったというケースがありえます。まあ新品を選べば良いことですが。

 ・Amazon.co.jp: きまぐれ博物誌 (角川文庫)(新装版)

 ・Amazon.co.jp: きまぐれ博物誌: 1 (角川文庫)(電子書籍版)
 ・Amazon.co.jp: きまぐれ博物誌・続: 2 (角川文庫)(電子書籍版)

 ・Amazon.co.jp: きまぐれ博物誌 (角川文庫)(古い版)
 ・Amazon.co.jp: きまぐれ博物誌 続 (角川文庫)(古い版)


■ユーモアは故意に曲解できるもの
 今と同じだなぁと思う部分として、これをあげておきます。
   笑顔とうやむや

 吉田茂がユーモラスな人物だったことは、死去の際の特集記事で、いまや世に広く知られている。「動物園へ行かなくてもサルは国会でたくさん見ることができる」などとの、ぬけぬけした発言があった。自分も議員であり、しかもその党首なのだから、あきらかにユーモアでありウィットである。
 だが、この発言がなされた当時の新聞報道を私は覚えている。けっしてユーモアと扱っていなかった。不祥事扱いの記事で、野党幹部の反論がのっていた。おそらく記者が「首相が議員はサルだといっています。ご感想は」と持ちかけたにちがいない。その反論のほうは少しも覚えていない。面白くもおかしくもない公式的なものだったからだ。
 そのころを境にしてのようだが、その後はどの大臣も、公式の席であまり面白い発言をしなくなった。新聞には時どき「日本の為政者は外国にくらべてユーモアがない」などとの主張がのるが、当然のことであろう。こんな状態にしておいて言えといっても、それは無理だ。ユーモアとは故意に曲解しようとすれば、どうにでもなるものなのだ。
 『ユーモアとは故意に曲解しようとすれば、どうにでもなる』というのはたしかにそうだなと思います。インターネットで誰もが発信できるようになった現代では、新聞記者に限らず誰しもが似たようなことをやるようになったのではないでしょうか。例えば、掲示板にスレを立てたりブログの記事を書くときに、わざと曲解したタイトルを見かけることがあります。

■ただしイケメンに限る
 1ページ漫画も作ってみた。
【コミPo】【1ページ漫画】「きまぐれ博物誌より」

 元ネタはこの部分です。
   賭けごと

 テレビや映画や物語でふしぎでならないのは、賭けの勝負がつごうよく展開することである。主人公のハンサムな青年は、西部劇であろうと、時代物であろうと、スパイ物であろうと、ここ一番という時には必ず勝つことになっている。野球物だと、三点リードされた九回裏の二死後、主人公は必ず満塁ホーマーを打つ。これがくりかえされると潜在意識のなかで型が形成され、おれは悪人じゃないから賭けに勝つはずだ、などと思い込んでしまう。そして負け、ハンサムでなかったのが原因かもしれぬと反省したりするのである。(以下略)
 この『ハンサムでなかったのが原因かもしれぬ』というのに、今のネットスラングで言うところの「※ただしイケメンに限る」に通じるものを感じます。
 ・※ただしイケメンに限るとは - ニコニコ大百科
 ・※ただしイケメンに限る - アンサイクロペディア
[ 投稿者:うえぽん at 21:55 | 読んだ(星新一) | コメント(0) ]

2014年03月30日
『アシモフの雑学コレクション』(編訳:星新一)を読んだ
 SF作家アイザック・アシモフが書き溜めた二、三行ほどの雑学を大量にまとめたものです。
 翻訳と編集はあの星新一がやっています。しかもイラストは星新一作品でもおなじみの真鍋博だったりします。なのでブログのカテゴリーとしては「読んだ(星新一)」に分類したいと思います。

 Amazon.co.jp: アシモフの雑学コレクション (新潮文庫)
 


 なぜか知らないが、雑学というのは誰かに伝えたくなります。
 というわけで、以下、雑学を4コマ漫画にしてみました。

【4コマ漫画】『アシモフの雑学コレクション』より1

 ソビエトの一週間についてはwikipediaにもう少し詳しく書いてあります。
 ソビエト連邦暦 - Wikipedia
 ここに書いてある『ロシア革命直後、レーニンはユリウス暦からグレゴリオ暦への改暦を行った。これは、1918年2月1日から13日までの日付を飛ばすことによって実現した』というのも雑学ですね。

【4コマ漫画】『アシモフの雑学コレクション』より2

 サルにもできるのならサルにやらせれば良いじゃんと常日頃思っていたりする。
 ちなみに、日光猿軍団は去年いっぱいで閉園したそうな。その後どうするのかと思ったら、芋の販売を始めたらしい。
 いも学校
[ 投稿者:うえぽん at 20:50 | 読んだ(星新一) | コメント(0) ]

2013年12月15日
『きまぐれ星のメモ』(星新一)を読んだ
 エッセイ集です。
 文庫版の初版発行が1971年(昭和46年)なので、おそらく雑誌掲載の時期は昭和40年前後だと思います。40年以上前に書かれたエッセイということになりますが、今でも十分読めます。

 Amazon.co.jp: きまぐれ星のメモ (角川文庫)(新装版)
 Amazon.co.jp: きまぐれ星のメモ (角川文庫 緑 303-2)(旧版)
 Amazon.co.jp: きまぐれ星のメモ (角川文庫) eBook(Kindle版)
 

■鋭い洞察力
 鋭い洞察力をもって書かれたエッセイが多いですが、その一例を。
   テレビを眺めて

 テレビの出現以来、茶の間における一家団欒という現象は大幅に失われた。画面を眺めるほうが忙しいからである。いいの悪いの言ってみても仕方がない。これが時の流れというものだ。悪くもないというのは、茶の間でつのつきあわせる率もまた、大きくへっているに違いないからである。
 しかし、全家庭がそうなってしまったわけではない。わずかに例外が残っている。どこにかというと、皮肉なことにテレビのホームドラマに登場する家庭である。
 その人たちは、普通ならテレビを眺めてすごすべき時間を、そんなものがあったかなと、そしらぬ顔をして生活している。老若男女すべてテレビに興味のない者ばかり、こんな家庭は現代において、きわめて異常というべきではなかろうか。
 (中略)
 現代を舞台にした小説を読んでも、テレビ局の出てくるのはあるが、視聴している人物を描写した文にお目にかかることはめったにない。あるいは、テレビ視聴は非常に恥ずべき行為であり、良識ある作家は公然と描写するのを避けているのかもしれぬ。

 さらりと書かれているので大したことはないと錯覚してしまうが、テレビを眺めてそこに映っていないものを見つけ出すというのは、意外と難しいことではなかろうか。
 たぶん多くの人はテレビのホームドラマを見ても「一家団欒のシーンだな」としか思わず、そこに存在しないものを探そうとすらしないはず。
 存在しないものといっても宇宙人やUFOなどといった論理の飛躍はしない。ホームドラマの家庭と現実の家庭を論理的に比較検討し、そして、テレビの中に存在しないものを発見しているのだ。
 目に見えるものを「ある」というのは簡単だが、そこにあるべきものなのに「ない」というのは難しい(と、昔読んだ本に書いてあった受け売りを言ってみたりする)。

 ちなみに、『小説を読んでも、テレビ局の出てくるのはあるが、視聴している人物を描写した文にお目にかかることはめったにない』とあるが、氏の作品には存在したりする。『白い服の男』収録の「老人と孫」などがそうだが、もしかして上のエピソードからインスピレーションを得て書いたのだろうか?

■当時の人の科学知識
 当時の人の様子が書かれている部分を読むと、やっぱり昔書かれたエッセイなんだなと思う部分もある。下は当時の人の科学知識が書かれた部分。
 ソ連が人類はじめての人工衛星スプートニク一号を、突如として打ちあげた時には、ずいぶんと、いろいろな会話を楽しむことができた。「月と火星とでは、どちらが遠くにあるのですか」と聞いてきたのは、ある一流電機会社の課長クラスの人であった。もっとも、技術畑の人ではない。多くの人が私に、この種の率直な質問を気楽に話しかけてくる。科学者や技術者といった、重々しい肩書きを持っていないせいだろうか。それとも、理知的な人相をしていないせいだろうか。だが、いずれにしろ、相手に恥をかかせることだけはしない。私は頭をかき、どもりながら答えた。「さあ、ぼくもよく知っているわけではありませんが、火星のほうが遠いようですよ」

 それとこの部分を見ると、星新一は若い人の考え方に近かったことが分かる。
 先日、あるテレビ局の座談会に出席し、未来の食事に話題が進んだ時、私はなにげなく「味のいい低カロリー食、さらには、すばらしい味のゼロ・カロリー食が普及するでしょう」と喋った。(中略)若い出席者たちは「早くそうなるといい」と賛成してくれたが、年配の司会者はあわてた様子だった。あとで聞くと、未来の食事は一粒で満腹といった形になるものとばかり思っていて、それで番組の進行を予定していたのである。戦前の人と戦後育ちとの感覚の差を知ることができ、思わぬ経験となった。


■昔も無報酬の依頼
 最近、クールジャパン推進でクリエイターに無報酬で参加を呼びかける提案があり物議を醸したが、似たような事案はあいかわらず昔もあったようだ。
 世は未来ブームとともに万博ブームでもあるようだ。先日、私のところへ万国博本部から手紙が来た。印刷されたものだから、各方面に相当な数を出したものだろう。内容は
 「貴下に万博のモニターになっていただき、お知恵を借りたい。無報酬だが、いずれなんらかの形で謝意を表します」
 とあった。専門家だけでは手におえないので、広くアイデアを求めたいというのだろう。無報酬とは酷いと思ったが、その時はさほど腹も立たなかった。
 私が顔をしかめたのは、数日後である。新聞を見ていたら、万博長者の写真特集がのっていたからである。
 万博会場のために土地を提供し、大金を得て豪華な邸宅を作った人たちである。その人たちはそれでいい。先祖伝来の田畑や山林を手離したのだから補償をもらうのは正当である。
 しかし、土地の提供者には大金を払い、頭脳を提供させようという人には無料。あまりに大きな相違である、万博の上層部にどんな人がいるのかは知らないが、頭脳の働きには一円も払う必要がないという考えの持ち主なのだろう。

 それにしても、万博長者を新聞で写真特集したりして大丈夫なのかと心配したりする。万博長者の所に下心のある人が集まって来たりしないだろうか。

【漫画】
 4コマ漫画も作ってみた。
【4コマ漫画】「月と火星」「未来の食事」
[ 投稿者:うえぽん at 21:08 | 読んだ(星新一) | コメント(2) ]

2013年12月01日
『宇宙のあいさつ』(星新一)を再読
 読み直したということで、その中から1編を4コマ漫画にしてみた。
【コミPo】【4コマ漫画】「危機」

 もうすぐクリスマスということで、この話をチョイスしました。
 星新一作品のオチにはキリストが出てくるのがいくつかありますが、キリスト教徒だったのかな? と思ったりします。

●一行説明 兼 目次
 ネタバレなしで各作品を25文字以内で説明すると以下の通りです。

 「宇宙のあいさつ」:侵略した新惑星の住民が妙におとなしい
 「願望」:お稲荷さまが六十万人目の参詣者の夢枕に出現する
 「貴重な研究」:不老不死の人体実験として召使に試薬を投与する
 「小さくて大きな事故」:弱みを握られ結婚させられた女が男への犯行を試みる
 「危機」:地球を攻撃しようとした宇宙人が帰っていく
 「ジャックと豆の木」:豆型装置を伝ってジャックが宇宙人と接触する
 「気まぐれな星」:地球人に似た哀れな住民がいる星へ救援物資を届ける
 「対策」:万引き犯の女と警備係の男
 「宇宙の男たち」:惑星間連絡ロケットで地球へ帰還する老人と青年
 「悪人と善良な市民」:自分を殺しに来た強盗。見覚えあるが思い出せない
 「不景気」:出資者の依頼でエス博士が新しい細菌を発明する
 「リンゴ」:日に日に見る夢のリンゴが減っていくというバーの客
 「解決」:人生相談の解決事務所に男女二人がやってくる
 「その夜」:全ミサイルを発射することになったミサイル基地
 「初夢」:年賀状を眺めながら居眠りをする
 「羽衣」:無重力ガウンを身にまとい過去の地球を訪れる
 「期待」:盗んだ卵を孵卵器で暖める
 「反応」:文化を高める資格があるか地球人を調べる
 「治療」:電子頭脳の平均人間と対話させ人々の劣等感を治療する
 「タイムボックス」:タイムマシンならぬタイムボックスの開発費回収を模索
 「景品」:ヘミングウェイを読みたいが景品としては読みたくない
 「窓」:新聞のテレビ欄に記載のない深夜番組
 「適当な方法」:病院に運ばれてきた青年のアル中を治療する
 「運の悪い男」:借金で苦しむ男の部屋に、逃走中の強盗が押し入る
 「贈り主」:発信地を特定できない正体不明の通信者
 「タバコ」:おれは元日から禁煙する
 「初雪」:窓の外の雪を眺め続ける
 「救助」:岩ばかりの星で見つけた遭難者を救助する
 「繁栄の花」:武器を持たない平和な星から繁栄の花が贈られる
 「泉」:壁から生えてきた腕。そこから採血して血を売る
 「美の神」:鬼艇長ひきいる探検隊がある惑星の遺跡を調査する
 「ひとりじめ」:逃げ遅れたと思っていた相棒と街で出会う
 「奇妙な社員」:優秀だが休みをよくとる奇妙な社員
 「砂漠の星で」:砂漠の星でピラミッドを発見し探索
 「夜の流れ」:夜の山中で女性のまぼろしを見る
 「あとがき」:アルファ博士

 この中で一番の注目作品は「繁栄の花」ですね。学校の教科書にも載っているそうな。似たようなアイデアの作品には「アフターサービス」(『妖精配給会社』収録)というのもあります。


 Amazon.co.jp: 宇宙のあいさつ (新潮文庫)
 


【余談】
 ラノベを読んでたら「普通」のルビに「リア充」と書いてあった。
 リア充とは普通であることなんだな。
[ 投稿者:うえぽん at 08:43 | 読んだ(星新一) | コメント(2) ]

2013年09月08日
『つぎはぎプラネット』(星新一)を読んだ
 星新一の書籍未収録や入手困難な作品を集めた『つぎはぎプラネット』が発売されたので、買って読んでみた。

 Amazon.co.jp: つぎはぎプラネット (新潮文庫): 星 新一
 

 まずは、ほどよい短さの作品があったので、それを4コマ漫画化。
【コミPo】「命名」

 (洗濯機をタイムマシンに見立ててますが、洗濯機がタイムマシンになる映画ありましたね)

●一行説明
 ネタバレなしで各収録作品を25文字以内で説明すると以下の通りです。

 「知恵の実」:人の手先の高さに疑問を持った仙さんが御隠居に訊ねる
 「環」:人類は科学という名の天使を作り幸せを持って来させた
 「ミラー・ボール」:投票が一番少ない数字が当選となるアマノジャククイズ
 「栓」:原子の内部の内部のそのまた内部と窮極をきわめる実験
 「狐の嫁入り」:(「雨」の旧バージョン?)
 「タイム・マシン」:過去に遡って自分の父親を殺したらどうなるのか実行
 「太ったネズミ」:(「夢20夜」の「ネズミ」の旧バージョン?)
 「見なれぬ家」:道に迷い野宿となりかけていた二人が家を見つける
 「文明の証拠」:灰色のカンガルーたちが住む星に文明があるか調査
 「食後のまほう」:アラビヤ帰りのおじさんが子供達に食後の魔法を披露
 「黒幕」:核融合の原子力発電所で電子頭脳が停止。犯人を捜す
 「犯人はだれ?」:理科の知識を使った謎解き3話
 「未来都市」:二千年の未来。明子の父が火星から帰ってるくとの通信
 「ねずみとりにかかったねこ」:体が小さくなる薬を飲み宇宙研究所に侵入。盗みを企む
 「白い怪物」:緊急着陸した星でクラゲのような白い怪物に襲われる
 「悪人たちの手ぬかり」:一味の悪だくみを見てしまった少年が袋に詰められる
 「夜のへやのなぞ」:床屋を営むおじさんの家に泊まり、お化け騒動
 「地球の文化」:地球帰還の宇宙船についてきた円盤。何か手伝うという
 「宇宙をかける100年後の夢‐火星のハネムーン‐」:新婚旅行のためロケットで火星へ向う
 「オイル博士地底を行く」:タイムマシンで大昔へ行き石油や石炭の誕生を見学する
 「あばれロボットのなぞ」:円盤から出てきたのロボットに木々や家々を破壊される
 「被害」:エル氏の家に覆面強盗が入り、札束を盗んでいく
 「宝の地図」:インディアンの宝の地図だといつもほらを吹くじいさん
 「インタビュー」:オモチャのトラが赤ちゃんにインタビュー
 「お正月」:「おめでとう」と右手をあげるロボットに留守を任せる
 「白い粉」:(「夢20夜」の「白い粉」の旧バージョン?)
 「夢みたい」:アメリカの漫画『カスパー』に着想を得て小説を練る
 「正確な答」:百科事典などの知識を綜合して何でも答える電子機器
 「ゼリー時代」:宇宙人エックス博士が、地球人をゼリー状の肉体にする
 「万一の場合」:ガソリンスタンドに別々の強盗が同時に押し入る
 「妙な生物」:地球を植民地化しようとする宇宙人が麻酔ガスを撒く
 「空想御先祖さま それはST・AR博士」:憑いているご先祖様の霊は二八四六年の博士だという
 「オリンピック二〇六四」:二〇六四年のオリンピック。開催は毎年となっている
 「景気のいい香り」:(「ハナ研究所」の旧バージョン?)
 「ある未来の生活」:(「感謝の日々」の旧バージョン?)
 「二〇〇〇年の優雅なお正月」:未来のお正月。料理を食べたりロケットをあげたりする
 「ビデオコーダーがいっぱい ちょっと未来の話」:盗難事件の捜査をしつつ家庭用ビデオの普及を目にする
 「味の極致」:最良の料理をアドバイスする料理総合コンサルタント
 「ラフラの食べ方」:人工の卵「ラフラ」を発明。CMソングを作り宣伝する
 「魔法のランプ」:(「そそっかしい相手」の旧バージョン?)
 「上品な応対」:地球帰還の博士。ある星で温度調整器と食料を貰った話
 「ある未来の生活 すばらしき三十年後」:未来の住居、交通、学校、食事などの紹介
 「屋上での出来事」:屋上でボーナスの金額確認。なぜか女に渡してしまう
 「おとぎの電子生活」:電子機器や通信の発達で会社や図書館は離れてても良い
 「夢への歌」:像の歌の作用で、ある女性の夢を見るようになる
 「最後の大工事」:パミ星の大工事。終了と思ったら元に戻すを繰り返す
 「ケラ星人」:SF大会にしのびこんだケラ星人
 「ほほえみ」:(『ブランコのむこうで』の「ほほえみ」の元ネタ?)
 「ある星で」:ある星に訪れた探検隊。住民に愛を説明しようと苦戦
 「円盤」:九州のSF大会「KYUCON」に宇宙人が続々
 「不安」:SF大会がインベイダー星人に乗っ取られているという
 「太陽開発計画」:エネルギーが無限にある太陽の一番乗りを目指そう
 「魅力的な噴霧器」:シュッとやると催眠術をかけられる噴霧器を入手した男
 「命名」:A博士とB博士がそれぞれの発明品に命名
 「習慣」:家具も電化製品も揃っているが、何かが足りていない
 「L博士の装置」:無類のタバコ好きのエル博士。便利な装置を作る
 「ふしぎなおくりもの」:小説家の山田さんの部屋に、誰かが羊羹を置いて行く
 「お化けの出る池」:庭に招かれ、そこの池でぼんやりした丸い光を目撃

 “旧バージョン?”と説明しているのは、類似作品が他の書籍に収録されているものの、大幅な書き直しがされているものです。書籍収録時に書き直されるのはよくあることなのですが、大きな書き直しがあるものは別作品と見なしたそうです。

●全作品読破したい人向け
 これから星新一を読み始めるような人にはおすすめできません。
 今まで書籍に未収録なだけあって、全体的に作品のレベルが低いです。
 全作品読破を目指すようなマニア向けの一冊かもしれません。
 おまけで下のような認定証がついてます。
 全作品読破認定証

●初出の月日と掲載誌が書かれてる
 今までの書籍には初出の月日は書かれていなかったのですが、『つぎはぎプラネット』では初出の掲載誌と月日が書かれています。
 PR誌(企業の広報誌のようなもの)に掲載されていたような作品は、その企業の商品を宣伝するのが主な目的なため、オチの意味を知るためには掲載誌が書かれているのはありがたいです。
 例えば、『エヌ氏の遊園地』に「紙片」という作品があるのですが、これはオチがよく分からない作品でした。しかし、アイスクリームメーカーのPR誌に収録されているものだと知れば、アイスクリームの部分がオチとなっていることが分かったりします。

 

【ところで】
 死後に書斎から未発表作品がみつかるというのはよくあるけど、実は別人が書いた作品なんてことはないのだろうか。亡くなった作家がイタズラで書斎に置いたものだとかして。
[ 投稿者:うえぽん at 22:12 | 読んだ(星新一) | コメント(2) ]

2013年06月24日
『白い服の男』(星新一)を読んだ
 読んだ、ということで、その中から1編をコミPoで1ページ漫画にしてみました。今回は、長めの作品が多いということで、大雑把なあらすじだと思ってください。まとめるのに苦労しました、

【コミPo】「悪への挑戦」

 大幅にカットしてしまいましたが、主人公がテレビ番組に熱中する様は、ニュース系の掲示板やサイトで頑張ってる人によく似てます。それだけにネットの評判を見ているとその部分が大きく注目されているようです。
 ただ、オチから鑑みると、メインテーマは「事実は小説よりも面白いのだろうか?」といったもののような気がします。

●一行説明
 ネタバレなしで各作品を25文字以内で説明すると以下の通り。

 「白い服の男」:平和のために戦争に関わる言論を全て禁止にした世界
 「月曜日の異変」:丸2日半眠って月曜に目覚めると、妻の様子がおかしい
 「悪への挑戦」:罪人の裁判や刑執行までを放送するテレビ番組が大人気
 「老人と孫」:老人が孫を膝の上にのせ一緒にテレビを見ている
 「テレビシート加工」:テレビの薄型化が進み壁紙や商品棚などに使われる時代
 「矛盾の凶器」:変人の博士が蛇ロボットで死んだと思われる事件を調査
 「興信所」:社長の息子が真夜中、憑かれたように墓地へ向かう事案
 「特殊大量殺人機」:全世界の条件にあう人物を殺す装置を博士と助手が発明
 「ねぼけロボット」:貨物輸送の宇宙船で緊急事態が発生し、ロボットを起動
 「時の渦」:ゼロ日と呼ばれる日を境に日にちが逆行しはじめる

●西ドイツでドラマ化
 wikipediaによると、表題作の「白い服の男」は西ドイツでドラマ化されているそうな。
 白い服の男 - Wikipedia

●「黒い服の男」
 以前取り上げましたが、「黒い服の男」という作品もあります。
 『夜のかくれんぼ』(星新一)を読んだ


 Amazon.co.jp: 白い服の男 (新潮文庫): 星 新一
 
[ 投稿者:うえぽん at 21:00 | 読んだ(星新一) | コメント(0) ]

2013年06月09日
『ボッコちゃん』(星新一)を再読
 一番おすすめのショートショート集なのに1ページ漫画を作っていなかったので、再読してその中から一編を1ページ漫画にしてみました。
【コミPo】「妖精」

●初期の自薦傑作選
 新潮文庫版の『ボッコちゃん』は初期作品の自薦傑作選という位置づけになっているそうです。
 それだけに面白い作品がたくさん集まってます。表題の「ボッコちゃん」以外にも、「おーい でてこーい」や「殺し屋ですのよ」、「親善キッス」など有名なタイトルがこの一冊に集中しています。
 星新一を初めて読むならこの一冊がおすすめです。

●収録作品数は50編
 50編と多くの作品が収録されているのでコストパフォーマンスはかなり良いかもしれません。

●一行説明
 ネタバレなしで各作品を25文字以内で説明すると以下の通り。
 この一行説明は、元々、自分用に作成したものです。星新一作品はタイトルから内容を思い出すのが難しいので作りました。

 「悪魔」:金貨を次々と出す悪魔
 「ボッコちゃん」:バーのカウンターにおかれた女性ロボット
 「おーい でてこーい」:底の見えない深い穴にゴミをどんどん捨てていく
 「殺し屋ですのよ」:殺し屋が注文をうかがいにくる
 「来訪者」:原っぱに降り立った他星人と、地球の人々
 「変な薬」:カゼの薬
 「月の光」:老紳士が少女を飼う
 「包囲」:自分を殺そうとしたのは誰なのか追跡
 「ツキ計画」:キツネツキからヒントを得た実験
 「暑さ」:自分を捕まえて欲しいと出頭する男
 「約束」:宇宙人と子供たちの約束
 「猫と鼠」:相手の弱味につけこみ強請る男
 「不眠症」:眠れないので夜も働いて稼ぐことにする
 「生活維持省」:社会を平穏に保つ政府の方針
 「悲しむべきこと」:エヌ氏の家に現れたサンタクロース
 「年賀の客」:なぜお金を貸してくれる気になったのか尋ねる
 「ねらわれた星」:宇宙人に捕まり皮をはがれる
 「冬の蝶」:お猿のモン
 「デラックスな金庫」:豪華な金庫が泥棒に狙われる
 「鏡」:合わせ鏡で捕まえた小さな悪魔
 「誘拐」:博士の子供を誘拐した男から電話
 「親善キッス」:地球の親善使節団がチル星人とキスしまくる
 「マネー・エイジ」:金貨を一枚さしあげなくてはならない
 「雄大な計画」:ライバル会社をスパイするために入社
 「人類愛」:宇宙救助隊員がSOSを受信、急行する
 「ゆきとどいた生活」:テール氏の部屋は全てが自動化されている
 「闇の眼」:パパとママが暗い部屋で話をしている
 「気前のいい家」:強盗が入った家には金貨がたくさん
 「追い越し」:別れた女の自殺を忘れようとスピードを上げる
 「妖精」:願いを叶えるとライバルにも二倍の効果
 「波状攻撃」:不良在庫を抱える工場にセールスマンが訪れる
 「ある研究」:あなた、あたしと研究と、どっちが大切なの
 「プレゼント」:正体不明の飛行物体から巨大な怪物が現れる
 「肩の上の秘書」:礼儀正しく話すインコを肩に乗せている
 「被害」:金庫を開けてなかのものを渡せ
 「なぞめいた女」:記憶喪失の女が警察に現れる
 「キツツキ計画」:強盗団によるキツツキを使った犯罪計画
 「診断」:ぼくは健全だ。叔父と院長が共謀してる
 「意気投合」:宇宙船で旅する探検隊がある星で大歓迎される
 「程度の問題」:スパイとしてある国についたエヌ氏
 「愛用の時計」:K氏が大切にしている腕時計
 「特許の品」:他星のなにかの設計図
 「おみやげ」:フロル星人が地球におみやげを残して帰る
 「欲望の城」:毎晩見る夢の中に部屋を持っているという男
 「盗んだ書類」:新薬を発明したエフ博士は製造法を書きとめる
 「よごれている本」:古本屋で手に入れた本は本物だった
 「白い記憶」:曲がり角でぶつかり気を失った男女
 「冬きたりなば」:広告付き宇宙船で遠くの星々へ商品の売り込み
 「なぞの青年」:お金のかかる慈善活動をする青年
 「最後の地球人」:人口増加が止まり、減り始める


 Amazon.co.jp: ボッコちゃん (新潮文庫): 星 新一
 
[ 投稿者:うえぽん at 22:53 | 読んだ(星新一) | コメント(0) ]

2013年06月01日
『おのぞみの結末』(星新一)を読んだ
 ちょっと長めの作品が多いですが、その中から一編をなんとか1ページ漫画にしてみました。
【コミPo】「ある占い」
 言い訳すると、前半部分の易者が信頼関係を築いていく過程をバッサリとカットしています。他にも細かい部分をカットしているので、ツッコミどころが結構あると思います。どの辺がそうだと言わなければ、気付かない人が多いと思うので、あえて言いませんが。

【1行説明】
 収録作品は11編。各編を25文字以内、ネタバレなしで説明すると以下の通り。

 「一年間」:女性型のロボットを一年間の契約でレンタルする
 「ひとつの目標」:世界征服をめざすグループに加入し精神安定剤をつくる
 「あの男この病気」:あの男を探すのに十カ月過ぎ、残り二カ月しかない
 「侵入者との会話」:階段上がってすぐの女性の部屋に、脱走犯が押し入る
 「現実」:夢の続きが現実になるというのを繰り返す
 「親しげな悪魔」:交換条件等一切なしで悪魔が三つの願いを叶えてくれる
 「わが子のために」:殺人事件を起こした息子の刑を免れさせるための作戦
 「ある占い」:いいところの娘。易者の占いがよく当たる
 「おのぞみの結末」:現金輸送の男が「メロンライスにガムライス」と呟く
 「空の死神」:墜落しそうな旅客機。スチュワーデスが乗客を見て回る
 「要求」:殺人計画の思案中にテレビでUFO来襲の臨時ニュース

 一番のおすすめは表題作の「おのぞみの結末」です。ネットの掲示板で星新一の話題になると「メロンライスにガムライス」と呟く人が多いですが、これが元ネタです。

 Amazon.co.jp: おのぞみの結末 (新潮文庫): 星 新一
 
[ 投稿者:うえぽん at 16:30 | 読んだ(星新一) | コメント(0) ]

2013年05月23日
『できそこない博物館』(星新一)を読んだ
 エッセイ集です。
 アイデアなどを書きとめた大量の創作メモを取り出し、あれこれと話を展開させて語られています。
 没になったネタばかりかと思いきや、意外と実際に使われているメモもあるようです。
 手の内をさらけ出すなんてことはあまりやらないことだと思うので、すごい本なのではないでしょうか。

 Amazon.co.jp: できそこない博物館 (新潮文庫): 星 新一
 

 というわけで、まずは、いくつか4コマ漫画にしてみました。

「できそこない博物館」より1、2
--------
「できそこない博物館」より3、4


●空想が実現しても喜んでなかった?
 書いたことが実現したらきっと嬉しいだろうなと思っていたが、どうもそうではなかったようだ。

 少し話題を変える。このあいだ、正確には昭和五十三年二月二十四日だが、朝日新聞の科学欄を見て、思わず「ありゃ」と叫んだ。
 見出しは「これは奇特なサナダムシ」で、そのある種のやつは、宿主に作用する物質を出し、ふとらせるというのである。
 アメリカの大学に招かれた木村修一教授がネズミにおけるこの現象に気づき、研究所がその問題をとりあげ、成長促進の物質を分泌すしていることが判明。日本でもこの研究が開始され、やがてはサナダムシによって頭をよくしてもらうことも夢ではないかもしれないとある。ネズミの体内で育て、その物質を抽出して、人体に注射するわけであろう。
 これには驚いた。このアイデアを作品にしたことがあるのだ。理屈で考えると、宿主に害を与える寄生虫ほどおろかなものはない。宿主が死んだら、自分もおしまいである。利口な寄生虫を作って、その卵を飲めばいいわけだ。私にしては珍しくグロテスク仕立て。
 短編集『ごたごた気流』のなかの「品種改良」という作品である。
 こういう事態は、SF作家にとって、まことに困ったことだ。これからの読者は、新鮮な驚きを感じてくれなくなる。
 私にとってSFは、実現しそうで、決して実現しないものでるべきなのだ。今後、この条件を意識すると、ますます書きにくくなりそうだ。きびしい時代になってきた。

      *

 そういえば少し前には、アメリカで電話にうそ発見機をとりつけるという記事が新聞にのっていた。相手の声を分析し、みわけるのだそうである。どの程度まで正確なのかは不明だが。
 これも私が『声の網』のなかで書いている。その当時は、まさか近いうちにそんなものなどできっこないと思っていた。
 内外のSF作家は、作品中の空想が現実のものとなると、喜ぶものだろうか。私の場合は、がっかりという感情で顔をしかめてしまうのだが。

 星新一といえば、作品が古くならないように色々と徹底しているのはあまりにも有名だ。それだけに空想が現実化して作品が古くなってしまうのは、あまり喜んではいられなかったのだろう。
 またこうも述べられている。

 六月はじめの各新聞に。こんな記事がのった。

 (中略)

 私の時代物の短編「はんぱものの維新」のなかに、そんな部分が出てくる。幕府の最後の勘定奉行・小栗上野介が、北海道へむかう榎本に、金ぴかのレンガをつんだ船を途中で沈めてくれとたのむのだ。
 この作品、会心の出来というものではないが、こうなってくると、人びとの興味をひくようになるかもしれない。科学の進歩で作品の古びるのはいやだが、過去への推理の的中するのはまんざらでもない。

 過去に対しての推理が的中した場合は、作品が古びることはないということで、まんざらでもなかったようだ。
 ちなみに、こういうアイデアメモがある。

予言者は、実現までは信用されず、実現したら無価値になる。

 この予言者というのは、SFを指している気もしなくはない。


●広告には肯定的
 広告を皮肉った作品が多いので、広告に対しては否定的だと思っていたが、実は広告に対して肯定的らしい。
 われわれは、もはやコマーシャルがないと、どうしようもないのだ。広告のない雑誌は、なんとなく読む気にならない。一時、PR誌が大流行し、どの企業もそれを出した。しかし、石油産出国の価格上げ、いわゆるオイル・ショックを境に、その大部分が発行をやめた。冗費節約ということもあるが、効果のなさがわかったからだろう。
 なぜかと考えてみると、PR誌には広告がのっていないのである。そのため、読もうという気にならない。まさに。パラドックスとは、このことだろう。
 いまだにがんばって、文化人類学的な編集をとり、利益を社会に還元しようという良心的な姿勢で、雑誌を出し続けている企業もある。いい内容だなあと思う、保存しておこうかという気にはなるが、読もうという気には決してならない。読んでもらいたければ、他社のでもいいから広告をのせろだ。

 広告関連の仕事もしていたので建前として言っているようにも見えなくもないが、テレビCMにしか興味を示さない異星の原住民を描いた「エデン改造計画」(『午後の恐竜』収録)は、この辺を着想にしているようなことが述べられてる。


●主人公を作ると……
 星新一作品には、特定の主人公を設定したシリーズ物がないが、それに関連して面白いことが書かれてる。
 シリーズ物は、性格的にむいていないのだ。ある主人公を作ってしまうと、そいつはある種の保障を得てしまうことになる。つかまることも、殺されることも、発狂することも、結婚することも、大学教授になることも、政界に入ることも宇宙人にさらわれることも、なんにもできなくなってしまう。そこがもどかしくてならない。

 ネットスラングでいうところの「主人公補正」ですね。


●「奇妙な機械」
 一番初めに掲載されている「自分の姿に似せてロボットを作るのだな」というのがオチになっている創作メモ。
 これは、たぶん「奇妙な機械」(『ふしぎな夢』に収録)のことだと思う。
 雑誌への掲載は『できそこない博物館』よりもずっと以前だが、しかし、単行本への収録は、星新一の死後になってからという作品。
 長らく未収録だった理由は知らないが、単に忘れていたのか、それとも手直しするつもりだったのか、その辺は不明。


【余談】
 広告付きの宇宙船は、20年前に実現してる。下の画像はTBSの秋山さんが宇宙にいたときのソユーズ。TBSのロゴが古い。
 ソユーズTM-11
 画像元
 Spaceflight mission report: Soyuz TM-11

 ちなみに「冬きたりなば」の挿絵。
 冬きたりなば
[ 投稿者:うえぽん at 20:12 | 読んだ(星新一) | コメント(0) ]