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2016年01月15日
『二銭銅貨』(江戸川乱歩)、5万円の現在価値を計算
 今月1日で江戸川乱歩の作品がパブリックドメインとなりました。青空文庫では大正12年に発表されたデビュー作の『二銭銅貨』が公開されています(青空文庫該当ページ)。まだこの1本しか公開されていませんが、本格的な公開は2月以降になるそうです。

 そういうわけで早速『二銭銅貨』を読んでみました。
 内容は、釣銭でもらった二銭銅貨がマジックコインであることに気づき、中から暗号が書かれたメモを発見。この暗号は盗まれた大金5万円の隠し場所を記したものだったというものです。

 さて、この“5万円”は現在の価値にするといくらになるのだろうか?
 気になったので色々と計算してみました。


■まずは作中の情報から概算
 まず最初にやったのは大雑把な概算です。読書をストップして資料を調べたくありません。そこで作中の情報から手早く概算してみました。フェルミ推定のようなものです。
 まずは作中の以下の部分に注目しました。
 『一番の支那鞄に一杯もあろうという、二十円、十円、五円などの紙幣を汗だくになって詰込んでいる最中に
 『細い紙幣には手もつけないで、支那鞄の中の二十円札と十円札の束丈けを持去ったのである
 この部分から、二十円札、十円札が当時もっとも使われていた高額紙幣であると推測。
 おそらく経済規模に適した額面の紙幣がもっともよく使われているに違いないと推理。
 現在もっとも使われている高額紙幣は一万円札と五千円札であろう。
 当時の二十円札は現在の一万円札に相当するならばその比は500倍。
 すなわち大正12年の5万円は現在の価値で2500万円と推定できる。
 と、読書中に十数秒で概算しました。あくまでも桁数が当たっていれば良いや程度の大雑把な概算です。


■答え合わせ1
 曇天文庫さんが公開しているものには注釈で現在の価値が書かれていました。
 江戸川乱歩「二銭銅貨・人間椅子 他41編」 - 曇天文庫
 『(今の二千万円程度)』と注釈があります。
 底本はちくま文庫『江戸川乱歩全短編』とのことなので発行は1998年です。
 自分が出した2500万円という概算にかなり近い数字です。おもわず鼻が少し高くなります。


■答え合わせ2
 ネット検索してみたら以下のブログでも5万円の現在価値を計算していました。
 大正時代の5万円はいくら?|備忘録
 日本銀行ホームページにある『昭和40年の1万円を、今のお金に換算するとどの位になりますか?』というページを参考にして大正12年と平成21年の“企業物価指数”を比較したそうです。その結果、大正12年の5万円は現在の貨幣価値で約2580万円となるようです。
 これまた自分が出した2500万円に近い数字となりました。ますます鼻が高くなります。


■しかし商品の値段を比べると…
 大正時代の商品の値段と現在の値段を実際に比べて見ることにしました。
 参考にしたのはYahoo!知恵袋の以下の質問のベストアンサーです。
 大正時代の100円は、現在の価値ならどれくらいの金額になりますか? - Yahoo!知恵袋
 以下引用。
値段史年表(朝日新聞社より抜粋)


週間朝日 10銭 (大正11年)
映画 20銭 (大正7年)
銀座木村屋のアンパン 2銭 (大正6年)
太田胃散 30銭 (明治31年-昭和18年)
うな重(並) 40銭 (大正4年)
コンサイス英和辞典 1円30銭 (大正6年)
日本橋たいめんけんのカレーライス 7-10銭 (大正6年)
小学校教員初任給 12-20円 (大正7年)
銀座ライオンのビール 18銭 (大正7年)
レコード(SP) 1円50銭 (大正3年)
板橋の3LDKの家賃 5円20銭 (大正3年)

現在の値段と照らし合わせてみると、約5000〜20000倍程度ではないでしょうか?

 前の計算では500倍前後でしが、実際に商品の値段を比べてみると5000倍以上あったようです。大正時代の5万円は現在の価値で2億5000万円以上ということになります。高くなった鼻がへし折られました。


■国家公務員初任給から計算
 初任給による比較はよく使われるのでその計算もしてみます。
 以下のページに大正時代の国家公務員初任給が掲載されていました。
 明治~平成 値段史
 大正12年は75円で、2015年は183200円とのことです。
 約2400倍となるので、この計算方法では大正時代の5万円は現在の価値で約1億2000万円となりました。
 前項の商品の値段と比較しても最初に出した概算よりは妥当なような気がします。


■最後に
 大正12年の5万円は、低く見積もって2500万円、高く見積もって2億5000万円、となりました。
 一概にこれとは言えないようなので、目安になれば良いと思います。
 ちなみに、二銭銅貨の額面(二銭)の価値は現在の10円から100円ということになります。二銭銅貨はタバコのおつりとして貰ったものなので、現在だと五百円玉を出して百円玉のおつりを貰った感覚ではないでしょうか。
[ 投稿者:うえぽん at 22:27 | 読んだ | コメント(2) ]

2015年12月20日
『赤毛連盟』(コナン・ドイル)を読んだ
 曇天文庫でまとめられているシャーロック・ホームズのシリーズを読了。
 青空文庫プロジェクト杉田玄白で公開されている翻訳を、koboやkindleで読める形式にしてまとめたものです。
 アーサー・コナン・ドイル「シャーロック・ホームズ」 - 曇天文庫

 最近NHKでやっていた人形劇や、かつて宮崎駿も関わった犬を擬人化したアニメは見ていたのですが、原作は今まで読んだことがありませんでした。
 たまたま何の気なしに読んでみたら結構面白かったので、曇天文庫でまとめられている分を全部読んでしまいました。
 ほとんど短編なので一つの事件を30分〜1時間ぐらいで読めてしまうのがお手軽で良かったです。

 数々の事件の中で一番気に入ったのは『赤毛連盟』です。原題はThe Red-Headed Leagueで、邦題は他にも『赤毛組合』『赤髪組合』『赤髪連盟』『赤毛クラブ』などあるそうです(wikipediaより)。

 というわけで、今回は『赤毛連盟』の導入部分のあらすじ漫画にしてみました。
 おそらくこれだけでも推理できると思います。結末の部分は描(書)きません。自分で推理してください。答えは青空文庫で読めます


【コミPo】【1ページ漫画】赤毛連盟


 質屋の御主人が全く意味のないことをさせられているのが実は別の人物にとっては意味のある行為、というのがナンセンスでユーモラスな話だなと思います。
 こういう話はミステリよりもショートショートに引き継がれているのではないでしょうか。
 星新一の作品に『シャーロック・ホームズの内幕』というのがありましたが、それがこの『赤毛連盟』のパロディとなっています。他にも『赤毛連盟』のトリック(通称“赤毛トリック”)を使った作品がいくつかあったと思います。


【余談】
 それにしてもシャーロック・ホームズが現代では考えられない危ない薬をやっているのに驚いた。
[ 投稿者:うえぽん at 21:46 | 読んだ | コメント(0) ]

2015年11月18日
「秘伝4コママンガの描き方」(ドラクエ4コマオールスター作家陣)を読んだ
 4コマ漫画の描き方を勉強したいと思い、こんな本を買ってみました。

「秘伝4コママンガの描き方」表紙


 発行日は1995年11月24日。今から20年前の本です。
 著者はドラクエ4コマオールスター作家陣となってますが、どうやら文章を書いてるのは一人だけのようです。

 目次はこうなってます。

 「秘伝4コママンガの描き方」もくじ

 全体の2/3以上がペンやホワイトの使い方の説明といった普通の漫画の描き方について書かれています。
 20年前ということでアナログが主体です。デジタルの人には参考になる部分は少ないかもしれません。
 自分はコミPo!で4コマ漫画を描いてるので、参考になったのは第3章の「おもしろいまんがを描くために」だけでした。

 以下少しだけ内容を紹介。

■4コママンガでは頭身を下げるという方法もある
 4コマ漫画は普通の漫画に比べて1コマのサイズが小さいです。その小さなコマに様々なものを描きこむ工夫として、頭身を下げるというのがあるそうです。

 「秘伝4コママンガの描き方」頭身

 たしかに言われてみれば4コマ漫画のキャラ(例えば「けいおん」「キルミーベイビー」などなど)は頭身が低いなと思います。
 (コミPo!では頭身を下げられませんが、頭を少し大きくすればそれっぽくなるのではないかなと思います)


■「こうすればいい」というルールはない
 このページの最後のセリフは良いことを言ってると思います。

 「秘伝4コママンガの描き方」構図

 「こうすればい」というルールはありません。
 一番いいと思われるやり方を見つけてください。

 ネットが普及した現代、漫画の描き方についてあれこれ目にするようになりました。
 最近ではツイッターで「顔マンガ」だとか「無駄ゴマ」だとかが話題になっています。
 しかし、それら全てに従うこともないと思います。「こうすればいい」というルールはないのですから。


■Amazon.co.jpリンク
 秘伝4コママンガの描き方-今日からキミもプロ作家!!
 
[ 投稿者:うえぽん at 21:48 | 読んだ | コメント(0) ]

2015年09月28日
『黒死館殺人事件 ─まんがで読破─』を読んだ
 前回『黒死館殺人事件』(小栗虫太郎)の原作を読みましたが、今回は漫画版の方を読了。
 原作小説を読んだものの、内容をちゃんと理解できているか自信がなかったため、今回はその理解を補うために漫画版を読んでみた次第です。


  黒死館殺人事件 ─まんがで読破─


 原作小説は主人公が垂れ流す怒濤の薀蓄のために、本編であるはずの殺人事件を読み解くのが非常に困難でした。それが漫画版では薀蓄が大幅に抑えられており、本編である殺人事件の内容がとても分かりやすくまとまっています。原作小説を読んだあとの答え合わせに読むのにちょうど良かったです。

 だた、ちょっと気になるのは、主人公・法水麟太郎のキャラデザです。無精髭を生やした悪人面した中年おじさんになっています(アマゾンの試し読みやサンプルで確認可能です)。アマゾンのレビューでも指摘されていますが、おそらく多くの読者のイメージとだいぶ違うものとなってます。
 まあ読んでいるうちに慣れましたが。

 さて、原作と漫画版を読破したうえで作品の感想を一つだけ述べると、自殺した人物を後から犯人と認定するのにはちょっと釈然としないものを感じました。死人が反論してこないのを良いことにそいつが犯人だとでっち上げた感じがしてならなかったです。犯人が生前に自ら犯人であると告白したのなら納得できるのですが……。
 法水麟太郎が主人公の作品は他にもありますが、結構このパターンがあったと思います。
[ 投稿者:うえぽん at 22:21 | 読んだ | コメント(0) ]

2015年09月27日
『黒死館殺人事件』(小栗虫太郎)を読んだ
 『黒死館殺人事件』(小栗虫太郎)をなんとか読了。
 読むのにかなり苦戦しました。本当に“なんとか”読み終えました。
 読んだといっても内容を完全に理解できている自信はありません。
 コミカライズ版(漫画版)もあるそうなので、次はそれで復習しようかと思っています。
 
 『黒死館殺人事件』は、『ドグラ・マグラ』(夢野久作)や『虚無への供物』(中井英夫)と並んで日本三大奇書といわれています。
 三大奇書などといわれると、きっと面白い名作なのだろうと思うかもしれません。
 しかし、実際に読んでみると、名作というよりは奇妙な作品ととらえた方が良いことがわかります。
 奇妙であるがゆえに読むのに苦戦します。途中で挫折する人が続出しているようです。ネット検索するとチャレンジした人たちの阿鼻叫喚の数々が見られるはずです。

 三大奇書はいずれも推理小説です。そしてアンチ・ミステリーでもあります。
 アンチ・ミステリーとは「推理小説でありながら推理小説であることを拒む」というジャンルだそうです。(アンチ・ミステリー - Wikipedia

 『黒死館殺人事件』も当然推理小説です。
 黒死館と呼ばれる館で殺人事件が発生し、探偵役(法水麟太郎)がその犯人をみつけようとします。
 ここまでなら普通の推理小説です。
 しかしこの探偵役である法水麟太郎がくせ者だったりします。
 どのようにくせ者かというと、とにかく薀蓄を大量に披露してくれます。なんとその薀蓄の数々は事件とは一切関係なかったりします。一見事件と関係がありそうな雰囲気で薀蓄を語りだしますが、読者はそれを何ページも読まされてから事件と関係ないことに気づかされます。
 この薀蓄のたちの悪いところはは、殺人事件の解決に必要な情報を埋没させてしまうことです。
 「木を隠すなら森」といいますが、この推理小説では大量の薀蓄によって必要な情報を隠すというなんとも奇妙な手法が使われています。

 まあ、つまり、読者にとって最大の敵は探偵役の法水麟太郎ということになります。
 探偵役が敵というのはかなり変わった小説だと思います。
 ちなみに、この薀蓄の数々はあまり面白くないです。薀蓄が面白ければ読むのに苦労はしなかったのですが……。

  黒死館殺人事件

 Kindle検索結果「小栗虫太郎」


 ところで法水麟太郎が主人公の作品は他にもあります。
 ほとんどが短編で、『黒死館殺人事件』と比較すると薀蓄もあまり垂れ流していないので、比較的さくっと読めます。
 青空文庫で読める限りは読んだので、以下はそのメモというかネタバレです。


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[ 投稿者:うえぽん at 22:49 | 読んだ | コメント(0) ]

2015年08月08日
「GOLDEN LUCKY 完全版 (上)」(榎本俊二)を読んだ
 kindleの8月の月替わりセールで199円だったので購入(通常価格は不明)。
 4コママンガで約470ページというボリュームがあって199円というのはかなりお買い得だと思います。
 自分は一度も読んだことが無かったのですが、かねてより漫画に詳しい人たちには評判が良かったので気になる作品でした。
 上巻の次は下巻ではなく中巻なので注意。

 Amazon.co.jp: GOLDEN LUCKY 完全版 (上): 榎本俊二
 

 読んでみた感想ですが、正直言って意味が分かりません。
 レビューなどをみると、どうやら「意味が分からない」というのは間違いではないようです。
 不条理4コマという部類に属するそうですが、不条理4コマとはWikipediaの説明によると『一見するとオチているのかオチていないのか不明瞭だったり、話のネタ自体が理解しづらいが、なにかしら笑える部分がある』(4コマ漫画#不条理4コマより)というものだそうです。
 たしかに、オチているのかよく分からない。でも何かおかしい。そんな内容でした。

 ちなみに、これを読みながら眠りについたら変な夢を見ました。
[ 投稿者:うえぽん at 21:51 | 読んだ | コメント(0) ]

2015年06月02日
『時計仕掛けのりんご』(手塚治虫)を読んだ
「時計仕掛けのりんご」より


 kindleで6月の月替わりセールとして99円になっていたので購入(通常価格は300円)。
 面白いので一気に読んでしまいました。
 大人向けの短編が8本収録されています。収録タイトルは以下の通り。

 『処刑は3時におわった』
 『聖女懐妊』
 『時計仕掛けのりんご』
 『バイパスの夜』
 『嚢』
 『イエロー・ダスト』
 『悪魔の開幕』
 『帰還者』

 さて、上の画像は表題作の『時計仕掛けのりんご』の中の一コマです。
 今回購入した手塚プロダクション発行の電子書籍版ではちゃんと“朝日新聞”になってました。
 他の出版社のものでは“毎朝新聞”と変更されているものがあるそうです。
 セリフが改変されているケースがたまに話題になりますが、あれは出版社側がやっていたのかなぁと思ったりします。
 (ちなみに画像はKindle Paperwhiteの画面を直接撮影したものです)

 Amazon.co.jp: 時計仕掛けのりんご(手塚治虫、手塚プロダクション)
 


 以下感想ですがネタバレ注意。



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[ 投稿者:うえぽん at 22:36 | 読んだ | コメント(0) ]

2015年04月29日
『漫才入門 ウケる笑いの作り方、ぜんぶ教えます』(元祖爆笑王)を読んだ
 『漫才入門 ウケる笑いの作り方、ぜんぶ教えます』(元祖爆笑王)を読了。

 ・漫才入門 ウケる笑いの作り方、ぜんぶ教えます [ソフトカバー版]
 ・漫才入門 ウケる笑いの作り方、ぜんぶ教えます [kindle版]
 

 4コマ漫画の作り方が書かれている書籍を探していたが、良さそうなのが見つからず、他の分野の書籍を物色したところ見つけたのがこの本です。
 運が良いことにkindleのゴールデンウィークセールでお買い得価格になっていたので、迷わず購入しました。

 この本は専門学校東京アナウンス学院・芸能バラエティ課で実際に行われた特別授業『漫才入門』を元に書かれたもの。そのため講師と生徒のやり取りという形式で記されています。
 講師は、放送作家の元祖爆笑王、元お笑い芸人で作家の松本哲也と大隈一郎の3人。
 元祖爆笑王と大隈一郎(大隈いちろう)はwikipediaにページがあるぐらい有名な人です。
 ・元祖爆笑王 - Wikipedia
 ・大隈いちろう - Wikipedia

 講義は以下の全五回で構成されています。
 第一回 基礎知識編…漫才とは台本ではなく会話である
 第二回 ネタ作り編…ボケの種類、ツッコミのパターン
 第三回 台本構成編…「あるある」から「なしなし」へ
 第四回 漫才演技編…今起こっている出来事として話す
 第五回 漫才実践編…お笑い専門学校ネタ見せ実況中継

 最後の第五回の講義ではネタ見せをして講師から意見やアドバイスを貰うというのを文字だけで書かれているが、そのネタ見せしている漫才の動画は出版社のサイトで見られます。
 ・出版社のサイト、該当ページ

 本のサブタイトルに「ぜんぶ教えます」とあるが、これはおそらく編集の人がつけたオーバーな宣伝文句。当たり前だが一冊の本に“全部”書けるわけがない。書籍内では「笑いには正解がない(無数にある)」と何度も言及され強調されていた。

 読み終わったあとは、漫才についてもっと色々と知りたいという気持ちになり、GyaOで漫才の動画を見て回ってました。(作り方の本なのだから、見てばかりいないで、おまえも実演しろよと突っ込まれそうだが)
[ 投稿者:うえぽん at 23:23 | 読んだ | コメント(0) ]

2015年01月18日
『予想どおりに不合理』(ダン・アリエリー)を読んだ
 『予想どおりに不合理』(ダン・アリエリー)を読了。

 予想どおりに不合理(ダン・アリエリー著、熊谷淳子訳)[文庫版]
 予想どおりに不合理(ダン・アリエリー著、熊谷淳子訳)[Kindle版]
 


■行動経済学の本です
 『予想どおりに不合理』は“行動経済学”の研究を紹介した書籍です。
 行動経済学とは何か? 簡単に言うと経済学に心理学を取り込んだようなものです。どうやら従来の経済学は人間は合理的に行動すると考えていたようです。しかし実際の人間は合理的ではありません。不合理です。そして不合理ではあるものの、その行動はある程度予想できたりします。その予想できる行動を研究したのが行動経済学のようです。
 つまり題名の『予想どおりに不合理』というわけです。

■著者がNHK教育に出演していたから
 行動経済学の本は数あれど、なぜ多くの中からこの本を選んだかというと、著者のダン・アリエリー教授がEテレ(旧NHK教育)の『白熱教室』で講義をしていたからです。
 この『白熱教室』を見て行動経済学に興味を持ったので、その番組で講義をしていた人の本を選ぶというありふれた行動ですね。

■著者はイグ・ノーベル賞受賞者
 ダン・アリエリー教授は2008年のイグ・ノーベル賞(ノーベル賞のパロディ)を受賞しています。
 受賞した実験というのが『高価な偽薬(プラセボ)は安価な偽薬よりも効力が高い』というもの。
 一見ふざけた実験に思えますが、これがジェネリック医薬品のこととなると、あながち馬鹿にできない実験ではないでしょうか。

■予測によって味覚が変わる実験
 実験を1つ紹介。
 この実験は2種類のビールを試飲してもらい、良かったと思う方を選んでもらうというもの。
 2種類のビールの一方は普通の市販のビール。もう一方は市販のビールにバルサミコ酢を2滴垂らしたもの(通称MITブリュー)です。
 そして、酢について何も知らせなかった場合と、事前に知らせた場合とでどのように結果が変わるかを調べます。
 さて実験の結果はというと、酢について知らせなかったグループはバルサミコ酢入りのビールを選んだそうです。意外と評判が良かったようです。
 しかし、事前に酢が入っていることを知らせたグループでは全く別の反応で、混ぜものをしているビールを少し味見したとたん鼻にしわをよせ、普通のビールの方を求めたといいます。
 この実験から分かることは、人は事前に与えられた情報から味を予測し、予測によって味が変化してしまうということです。

■ペプシチャレンジ
 前述の実験と似たようなことをペプシ社とコカ・コーラ社がテレビCMで行っています(日本ではペプシのみ)。
 どちらのCMもペプシとコカ・コーラを試飲してどちらが好みか選ぶというものでしたが、ペプシ社のCMではペプシを選ぶ人が多く、逆にコカ・コーラ社のCMではコカ・コーラを選ぶ人が多かったそうです。
 さて、この2社は統計を誤魔化したのだろうか?
 その答えは両者の調査の仕方の違いによるもので、前述の実験のように、事前に与える情報によって結果が変わっていたとのこと。
 ペプシのCMではブランド名を伏せて飲み比べをしたのに対し、コカ・コーラのCMではどちらのコーラか分かった状態で試飲していたそうです。
 このCMの逸話から分かることは、ブランド名は意外にも味覚に作用するということです。


 他にも面白い実験がたくさん紹介されていますが、ここで取り上げるのはこれぐらいにしておきます。

 
[ 投稿者:うえぽん at 22:11 | 読んだ | コメント(2) ]