船越康弘さんの料理本に出会ってから、私の中にあるスイッチがONになって、料理の世界に私の心がゾワーッと引き込まれていったんですけれど、それからはいろんな料理本を集めては(古本屋が多いんだけど)いろいろ試しては楽しむ暮らしが始まりました。もう、料理本は120冊になったんだよ。
船越さんの次に私が引き込まれたのは奥薗壽子さん、あの売れっ子「ナマクラ流ズボラ派家庭料理研究家」ね。「TVチャンピオン」の「3分間料理人選手権」に2002年に優勝して、大ブレークして、今じゃ書店に奥薗本がズラーッと並んでるよね。
奥薗さんのブログ「でいりぃおくじょの」を紹介しようと思ったんだけど、・・・ だってさ、あんなに忙しい人が毎日更新してるんだからね、すごいなあと思って紹介しようと思ったんだけど ・・・ その前にネタを仕込もうと思って、奥薗さんの著書「3時間睡眠で、なんでもできる!」を、久しぶりに本棚から抜き出してパラパラめくってみたらさ、やっぱり、すごいと思った。どこがすごいと思ったか、もう予定外の読書で、読むつもりじゃなかったのにとうとう今全部読んじゃったところで、もう夜も遅いのでヤケクソなんですけれど、私の感動を少しでも伝えられたらと思って、少し書いてみようと思います。
このタイトルは、何かのノウハウ本みたいで、ちょっと一瞬引いちゃう人もいるかも知れないけど、率直に軽妙に語る自叙伝です。船越さんも講演や著書で自分の半生を積極的に発言して、これがレシピのひとつひとつに反映されていることに段々と気づかされて、生き方と料理の組立とのつながりに学びが至るわけですけれど、同じような迫力に満ちているのがこの本です。

(サンマーク出版。2003年5月。222ページ。1300円+税)
はしょってのご紹介になるけれど、ブラジルから無謀とも言える渡航を経て奥薗さんの出産を故郷、京都で果たしたお母さんは、大の料理嫌いでね、まだ小学校1年生の奥薗さんに料理担当を命ずるのね。それで料理が何より大好きになる素地がそこで芽生えたみたいなの。
大学の中国語学科に進んで、大学より料理教室に熱心に通ったりしてね、ホテルに就職して早々に結婚。夫の転勤で九州に移って、その自宅で料理教室を始めて、夫との関係もうまくいかなかったのかな、そこんところははっきり書いてないけど、2人の幼い子どもを抱えて単身、東京に出て料理研究家を目指します。子どもがいなくたって厳しい状況だと思うけど、必死にがんばってると次々と悪徳業者にだまされたり、いろいろあって全身に発疹が出て人間不信になって心療内科にかかるようになるんだよ。カーテンを閉め切って部屋にこもって苦しむ日々。
ちっともポジティブな考えなんかできない状況から、少しずつきっかけをつかんで這い上がっていく様は、ドラマティックです。やがて、ある人のつてでチャンスが来る。そのある人っていうのが、かつて自分をだましてどん底に突き落とした悪徳業者だったり ・・・ だんだんと、プラスなのかマイナスなのか、表面だけじゃ分からないなって、学びを深めていく奥薗さんの心の軌跡が、手に取るようにおもしろおかしく語られていきます。
東京でチャンスがめぐってきて、張り切って料理するんだけど、緊張のせいか次々と棒に振ってしまう。九州じゃそれなりに目立っていたけれど、東京じゃ自分レベルの人なんて吐いて捨てるほどいる。おしゃれに見せよう、すごく見せよう、かっこよく見せようという計らいがことごとく失敗して追い詰められていく中で、次第に「ナマクラ流ズボラ派」というコンセプトが出来上がっていくんですね。
とうとう離婚ということになって孤立無援になる中、まわりの人はみんな反対するの。細々続いている仕事も、そんなこと名乗ったらみんな無くなっちゃうよって忠告されるんです。でも、数々の修羅場をくぐった奥園さんには、私は背伸びしたことはみんな失敗してきた、ありのままの自分で、また失敗するならそれでもいい、って腹の底から覚悟ができて、そこから今の快進撃が始まるのね。
奥薗さんのレシピには、そういう生きてきた軌跡が確かに刻まれていると思います。船越さんのレシピが他の人と全然違うとの同じように、奥薗さんのレシピも一見その対極にあるように見えて、人生をかけた迫力という点で共通するものがあると思います。
奥薗さんのレシピは実はちっともズボラじゃないのよ。出汁もインスタントは一切使いません。昆布もそのまま入れるから最後に出さなきゃいけないんで、ハサミで小さく切ったら具と一緒に食べられるでしょ? 栄養もあるのよ、ってそういうことなのよ。
調味料を入れる順番だって、砂糖を入れた匙でしょう油は量れるけど、しょう油を入れた匙で砂糖は量れないから洗い物が増えるでしょ? ってそういうことよ。2人の子どものお母さんとして失格と言われたくないって、奮闘してきた時間の結晶が、レシピを輝かせているのだと思います。
その子どもたちもね、思春期になって、お母さんの料理を一切食べない時期があったんだって。わけの分からないジャンクなものを部屋にこもって食べる日が続いたんだって。子どもたちの分の料理がテーブルに並んでいるのに、一人で夕食を食べて泣いたんだって。
そして、私は料理研究家として料理を作ってきたけれど、本当に大事なのは食べることなんだって分かったんだって。どんなインチキなジャンクフードでも、一緒に食べれたらなって思ったんだって。これは本には書いてないよ。毎日更新されるブログに書いてあるのよ。
そして、今年の母の日に、一回り成長した子どもさんから、プレゼントがあったそうよ。「尊敬します」っていう歌詞の歌のCDなんだって。
「でいりぃおくじょの」のURLを紹介したいんだけど、このサイトは、どのページを開いてもホームのURLのままなの。メニューからブログに進んでもらわないといけません。不便だわ。
興味を持った方は是非訪問してみて下さい。
母の日のエピソードは5月14日の分です。
レシピが完成するまでの試行錯誤とか、みんな書いちゃってます。みんな書いちゃうっていう、そういう姿勢、なんかいいと思いますわ。ありのままで勝負するっていう決意は、ちゃんと日々のブログにも表れているのですね。
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奥薗壽子のなべかまぺえじ でね、今日6月3日の記事は、「最近『チャングムの誓い』観始めましただって。「はまりそう」だって(笑)。おくじょのさん、オレもだよ、オレもだよ。