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2005年04月09日
4:おじさんの話
土曜日更新『壁から出た骨』です。
 この話は「壁から出た骨」」3:七不思議の続きです。

 「こんな話があるんだよ」
 おじさんは、はなしだした。
 「昔、この小学校を建てる時のことだったから、もう百年も前の話なんだ。ここ君たちの学校は丘の上にあるだろう。だから建てるのにだいぶ大変だったらしいんだ。基礎を作るのにたくさんの石が必要だった。その石をどこから持ってきたのかというと、川、あそこに流れている天竜川の石を運んだんだ」
 おじさんは椅子から立ち上がり、教室の窓のほうへ向かうと、そこから遠くに流れている天竜川を指さして言った。
 「あの天竜川からこの丘の上まで石を運ぶのは大変だった。何人もの人たちがその労働に携わっていた。しかしそのわりには報われることはなかった。それはおもに日当の支払いの問題についてなんだ。
小学校建設の工事は急がなければならなかった。開校の期日が迫っていたからなんだ。ちょうどその年は天候不順が続いて仕事ができる日は少なく、工事は遅れがちになっていた。だから労働も交代制で夜を徹して行われた。そのように仕事が忙しくなってくるにしたがって、どういうわけか日当の支払いが滞っていった。そんなことが数ヶ月つづいて、労働者たちも我慢できなくなっていった。
 こんなに無理をして働いているのに、日当が支払われないのはどうしたことか、と現場の責任者に詰め寄る者もいた。しかしその責任者はどうしようもできるわけはない。その責任者も雇われているだけであって、問題は工事を請け負っている会社にあるのだから。
しかたなく責任者は、労働者の代表として会社に訴えにいった。しかし会社側は、必ず支払うからしばらく待てということだった。だがしばらく待っても、労働者たちが日当を受けられることはなかった。そのうちその責任は労働者の代表である現場責任者に転嫁されていった。
そんなようなことだから労働者たちの士気も上がらない。天候のことが理由ばかりではなく、工事はますます遅れてきた。そうなれば会社も完成予定日に間に合わせようと必死になる。天気に関係なく雨の日にさえ働くよう強制した。
そんな時、事故がおきたのだ」
(つづく)
次回更新は、4月16日予定です。
[ 投稿者:Hiko★ at 12:10 | 壁から出た骨 | コメント(0) | トラックバック(0) ]

2005年04月02日
3:七不思議
 土曜日更新の『壁から出た骨』です。
 この話は「壁から出た骨」」2:同級会の話の続きです。


 僕たちが、この六年B組の生徒だった頃、その教室の黒板の右側に貼られた掲示物は、どういう訳か剥がれてしまうのでした。
 一体何故なんだろうと、僕たちは不思議がって、モルタルの柔らかい壁だからうまく止まらないのだ、という普通の説から、ひょっとしたら何かの崇りじゃないのか、なんていうオカルト説までとびだしたんですが、結局のところ分からないままでした。そういう不思議さが怪談話として、七不思議の一つになってしまったのでしょう。
 以前、「学校の怪談」や「トイレの花子さん」という映画が上映されましたが、いつの世代になっても、そういった学校にまつわる不思議な話はあったものです。
 僕たちの小学校にも前述のようにそんな話がありました。それは七不思議というけれど、その数は別に七つあるから、という訳ではありません。学年によって同じ七つでも、その内容は色々と違うものでした。
 その幾つかを拾ってみると・・・





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[ 投稿者:Hiko★ at 00:41 | 壁から出た骨 | コメント(0) | トラックバック(0) ]

2005年03月31日
2:同級会の話
この話は「壁から出た骨」1:プロローグと友人の訪問の続きです。

僕たちは一時間ばかり、なつかしい思い出話やお互いの近況などをはなしていたんですが、話は「同級会」の事になりました…。

「そういえば、小学校の同級会もすっかりやらなくなってしまったね」
 僕は、コーヒーのおかわりに立ちながら言った。
「岸本もおかわりするだろう?」
「ああ、ありがとう」
 そう言いながら岸本は、冷たくなったコーヒーを喉に流し込むとカップを僕に差し出した。
「そうだね。名簿順に幹事を決めてみんなを集めていたけど、だれかで止まってしまったんだ。結局、あの時が最後だったんじゃないかな」
キッチンの奥から僕は、
「あの時って、用務員のおじさんがこわい話をしてくれた時のかい?」
コーヒーをサーバーから移しながら言った。
「そう、僕と沙貴ちゃんが幹事だった」
岸本は昔を懐かしむようにつぶやいた。
「ああ、そうか。君と沙貴ちゃんが幹事だったのか。沙貴ちゃん、かわいかったねえ。僕はその時以来まったく会ったことはなかったけど、もういいおばさんなんだろうね」
僕は沙貴ちゃんの、その当時の丸い顔を思い浮かべた。
「君はいくつだ?」
岸本がたずねた。
「三×才だ」
僕が答えると、
「同級生だぜ。君もいいおじさんだ」
岸本が笑いながら言った。
「はははは、そうだね」
僕も笑った。岸本は笑顔を返すと、
「ところで君は、あのおじさんのこわい話を憶えているかい?」
と真顔になって言った。
「ああ、小学校が建てられた時の話だろう」
僕は、机の上にコーヒーカップを置きながら言った。岸本はその同級会の思い出を語りはじた。



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[ 投稿者:Hiko★ at 09:11 | 壁から出た骨 | コメント(0) | トラックバック(0) ]