
ダ・ヴィンチでセレモニー黒真珠を読んだのが初めてだった
書き口が面白くて本を買って
花宵道中と白蝶花は続けて読んだ
昔書き物ホームページをぐるぐるしていたあたしには面白かったけど
作者の世界に惹かれたわけじゃなかったので広げなかった
これは閉じた世界のぼんやりした色調なのに
感触が強い物語だった
谷村志穂の海猫もこんな感じだったけど(特に母ちゃんの結婚生活と娘の恋のあたり)
装置は完璧に施されて
作者が知っているであろう見取り図が覗きたくなる
おじょうさんたちを見分けにくく書き分けて
あの世代独自の傲慢な気高さと
精神的な自己主義をキチッと書き込んで
でもキナジウムではない
紫煙の匂いもバナナマフィンも輪郭を失って曖昧で
だけどこの装置は魅力的だ
昭和の少女漫画には切り取られていた気がする
叙情というか、語らざるが思春期にしかない共犯の共鳴みたいな
死んでしまいたい、曖昧なあれ