男が家を出れば七人の敵がいると謂う
女は紅を引いてたたかうのだと佐伯かよのは描いていた
フロイラインのやうに良い藁になろうという意気は無く
あたしが誤るかもしれない事態を
あたし達すら警告をしないでいるということに戦く
数年ぶりの帰路を辿り幾つかの記憶を振り払いながら電車を待って
家に着けば
あたしの維持している快適を貪るだけの
無自覚の血統
時は行き過ぎたのだから
もう永遠に戻りはしない
其の人の敵をあたしは見たことがない
退くことのない人間の覚悟と時間は
あたしを酷く悲しくさせる
重ねるほどにあたしは耐え難くなるやうな気がしている
生温い不快な泥濘がいつでも脚に纏わりついて
意味のないことだとわかっていても毎夜脚を洗わずにはいられない
泥濘を抜け出すか
脚を切り落とすか
どちらが楽かわかっているくせに
女は紅を引いてたたかうのだと佐伯かよのは描いていた
フロイラインのやうに良い藁になろうという意気は無く
あたしが誤るかもしれない事態を
あたし達すら警告をしないでいるということに戦く
数年ぶりの帰路を辿り幾つかの記憶を振り払いながら電車を待って
家に着けば
あたしの維持している快適を貪るだけの
無自覚の血統
時は行き過ぎたのだから
もう永遠に戻りはしない
其の人の敵をあたしは見たことがない
退くことのない人間の覚悟と時間は
あたしを酷く悲しくさせる
重ねるほどにあたしは耐え難くなるやうな気がしている
生温い不快な泥濘がいつでも脚に纏わりついて
意味のないことだとわかっていても毎夜脚を洗わずにはいられない
泥濘を抜け出すか
脚を切り落とすか
どちらが楽かわかっているくせに